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乳酸とは?
生成の仕組みと体内での役割

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「なんだか最近、疲れが取れにくい…」そんなふうに感じていませんか?
疲れの原因としてよく聞くのが「乳酸」。「乳酸」と聞くと、発酵食品に活用されている乳酸菌や、運動時の疲労物質といった副産物的なイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
でも、実はこの“乳酸”、単なる「疲れのもと」ではなく、私たちの体にとって意外な働きをしているのです。


この記事では、乳酸の生成の仕組みや体内での役割について詳しく解説します。
健康維持のヒントとして、ぜひご一読ください。

乳酸とは

乳酸とは、糖類から分解されてできる生成物のことです。乳酸は、乳酸菌が腸内で糖を分解するときに生成することで知られています。また、ヒトが運動する際、筋肉が糖を分解してエネルギーを作るときにも生成されます。

出典:厚生労働省 『健康日本21アクション支援システム〜健康づくりサポートネット〜 “乳酸菌”』(2025.7.8参照)

乳酸菌によってできる「乳酸」

乳酸菌は糖を分解して乳酸を生成します。この乳酸には、酸味を生み出して食品を腐りにくくしたり、菌に変化を与えたりするはたらきがあります。これは「乳酸発酵」と呼ばれるしくみで、ヨーグルトや味噌、醤油、漬物などの発酵食品が作られる際に活用されています。

ヒトの腸内にすむ乳酸菌は、乳酸を生成して、有害菌の増殖を防ぐはたらきがあります。

乳酸菌は酸素を嫌う嫌気性の微生物であり、酸素を使わずに糖を分解するのが特徴です。乳酸が生成されるときの「無酸素」状態は、運動時に体内で乳酸が生成される環境と共通しています。

運動によってできる「乳酸」

ヒトが運動するとき、筋肉はエネルギーを作るために、筋肉に蓄えていた糖・グリコーゲンを分解して乳酸を生成します。

激しい運動の後には多くの乳酸が生成されることから、以前は乳酸が疲れの原因だと考えられていました。

しかし最近では、疲れの原因は乳酸ではなく、乳酸が生成される過程で発生する水素イオンが筋肉のpHバランスを酸性にしてしまうことだと考えられています。運動強度が高くなると、酸素を使わずに糖を分解する「無酸素運動」が行われ、その際に乳酸が生成されることがわかっています。

研究が進むなかで、むしろ乳酸には有益な働きがあることが明らかになってきました。

乳酸は細胞のエネルギー源になる

乳酸は細胞のエネルギー源になる
運動強度が一定レベルを超えると、酸素を使わずに糖を分解してエネルギーを作る無酸素運動を行います。このとき、副産物として生成されるのが乳酸です。

無酸素運動で増える乳酸は血液を通して移動し、ほかの細胞に取り込まれます。取り込まれた乳酸が有酸素運動のエネルギー源となって再利用されていることが、カリフォルニア大学のジョージ・ブルックス博士によって発見されました。これを「乳酸シャトル」と呼びます。

乳酸シャトルの仕組み

筋肉は、構成する筋線維の性質によって「早筋(速筋)」と「遅筋」の2種類に分けられます。乳酸には、それぞれの働きの時差を補う役割があります。
乳酸シャトルの仕組み
早筋と乳酸の関係
早筋は、主に筋力を発揮する際に使われる筋肉で、大きな力を出すことができます。しかし、持久力が低く疲れやすいという性質があります。

グルコースをはじめとする糖質をエネルギーとして分解する際、無酸素運動では「解糖エンジン」によってエネルギー(ATP)が作られ、瞬発力を生み出します。その副産物として乳酸が生成されます。
遅筋と乳酸の関係
遅筋は、持久力が求められる運動で使われる筋肉です。発揮できる力は小さいものの、持久性に優れ、疲れにくいという性質があります。

酸素が豊富な環境にある遅筋は、早筋で生成された乳酸を取り込んでエネルギー(ATP)に変換し、持久力を維持します。

このように、乳酸は早筋で生成され、遅筋に取り込まれて再利用されることで、エネルギーを効率的に活用し、筋肉全体のパフォーマンスを支える役割を担っています。

出典:厚生労働省 『健康日本21アクション支援システム〜健康づくりサポートネット〜 “筋力・筋持久力”』(2025.7.8参照)

からだの各機能を活性化する乳酸のはたらき

からだの各機能を活性化する乳酸のはたらき
細胞内で生成される乳酸は、体内のさまざまな機能を活性化するといわれています。脳内では、神経細胞(ニューロン)をサポートする細胞が乳酸を生成し、これが神経細胞のエネルギーとなります。

また、脳やさまざまな臓器に好影響を与える筋肉(骨格筋)から分泌される成分は「マイオカイン」と呼ばれ、近年注目されています。乳酸もその一種として、脳の神経細胞を活性化する可能性があることがわかっています。

同様に、免疫細胞の代謝に影響を与えて炎症を緩和する可能性についての研究もあり、乳酸のさまざまな働きが明らかになりつつあります。

乳酸はからだの機能で
重要な役割を担っている

乳酸は、乳酸菌によって生成されるだけでなく、運動時にエネルギーを作る過程でも生成される物質です。

近年の研究では、乳酸シャトルというしくみにより、生成された乳酸がエネルギーとして再利用されることがわかっています。

乳酸は、脳や免疫といったさまざまな機能にも関与しており、私たちの健康維持において重要な役割を果たしています。